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COURTESY コンサルティング
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社会保険労務士COURTESYコンサルティングのブログページです。このサイトを丁寧に読んでくださる方々から直接尋ねられたことや、お客さまからのご相談などで広くシェアしたいと感じた内容を、折々のなかで綴ります。
2023.8.4
休憩時間について
休憩時間にまつわるさまざまなトラブルを見てきましたが、ほとんどの場合「休憩時間」の認識が異なっていることが発端で労務トラブルになっているようです。
平成の半ば頃に多かったのは、昼に電話当番を輪番で行うような事業所での、当番の休憩時間の取扱についてでした。
自分の席で昼の弁当を食べながら、電話が鳴ったら当番が取るというものなのですが、弁当を食べながら電話の取次程度の作業をする程度のものは、そもそも仕事なのか、仕事ではないのか、という認識の違いが、トラブルのもとでした。
よく考えてみれば、その時間全部について、自由に使うことができるかといえば微妙なわけですから、労働基準法第34条第3項の自由利用の原則に照らせば、昼の電話当番は休憩時間とはいえないのではないか、という認識へ世の中全体が変化していき、今ではこのことを論争にする光景はあまり見なくなりました。
一方、業務自体が休憩時間に食い込んで休憩が取れない程に忙しいとか、取り立てて時間を区切って45分なり1時間なりのまとまった時間の休憩を確保すること自体が難しいとか、労働時間のメリハリをつけづらい業務が増えてきたので、そもそも休憩が取れなかった時間は残業代を払うべきではないか、という議論へとシフトしていきました。
また、家族の事情などによるのでしょうが、終業の時刻を切り上げて早帰りしたい人が増えているように思います。
「10時〜17時の休憩45分で勤務していますが、諸事情で10時〜16時休憩なしの勤務に変えたいと思っています。ところが、弊社の人事からそれはできないと言われました。労働基準法第34条で、労働時間が6時間を超え8時間以下の場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を与えなければなならないと定めているのですから、10時〜16時は6時間を超えてないため休憩なしもありえるのではないでしょうか?」という相談を受けたことがあります。
しかし、このような休憩無しの6時間勤務ですと、1分でも終業時刻を過ぎたら、労働基準法第34条違反を構成してしまうことになります。
また、17時まで就業する必要がある事業・業務において、休憩時間を節約して労働時間を短くし16時までの勤務に変えて欲しいと思っても、経営的視点からは合理的とはいえないのでなかなか許可されないと思います。
それで10年近く前のことですが、某保育園のパートの勤務時間を検討するにあたり「夕方は17時近くまで居て欲しいので、昼休憩は1時間取って拘束時間を少しでも長くしたい」と保育園の園長がおっしゃっていたことを、思い出しました。
確かに、保育園では預かりとお迎えの時間帯には、スタッフをなるべく多く揃えていたいという事業運営上の事情があるのでしょう。
仕事に応募するときは、個人の事情と事業の事情と法制度を鑑みて、各自のライフスタイルと体力的な特徴(夜型、朝型、徹夜OKなど)にあっている仕事に応募することをおすすめしたいと思います。
少し話がずれてしまいました...休憩時間にまつわるトラブルの話に戻します。
時間外・休日労働の場合の休憩に対する認識の違いが、ちょっとした紛争にまで、発展した過去事例があります。
従業員の言い分は「残業時間中は休憩時間を取らせるべき法的な制限はないから残業時間全部に対する残業代を払うべきである。たとえ残業時間中に休憩を取ったとしても、その時間数の賃金の控除はするべきではない。同様に休日出勤の場合も休日出勤時間の全てに対する休日勤務手当を支給するべきであって、休憩時間に相当する時間数の賃金の控除は許されないはずだ」と言う内容でした。
しかし、時間外・休日労働であっても、その日の実労働時間が、6時間を超えたら45分、8時間を超えたら1時間の休憩を与えなければならないのです。
労働基準法第34条でいうところの労働時間は、時間外・休日労働等の名目にかかわらず、その日(0時から24時)の実労働時間のことを言っているわけで、それが土曜出勤であっても日曜出勤であっても、その日の労働時間が6時間を超えたら45分、8時間を超えたら1時間の休憩を与えなければならないわけです。
労働基準法は第34条第1項(6時間超で45分、8時間超で1時間)だけでなく、第2項(一斉休憩の原則、労使協定による特例)、第3項(自由利用の原則)、さらには第40条(休憩の特例)、則31条(一斉休憩の適用除外)、則32条(乗務員等の休憩の例外)、則33条(自由利用の適用除外)など、様々な休憩についての定めがありますから、これらを総合的に理解していないと勘違いに基づく主張ができてしまいますし、労使ともに認識が浅いと適切な休憩時間管理ができません。
それぞれの事業にあっている合法的な休憩時間とはどのようなものかについて、社労士に素直に相談してみるなどして、今までの「普通」とか「当たり前」についてゆっくり考え直していただくことが、大切なのではないかなと思うのです...
2023.5.25
健康保険・厚生年金保険の適用について
健康保険・厚生年金保険の適用拡大について、協会けんぽを例に、簡単にご説明します。
(学校共済、健保組合などは、詳細な基準などが若干異なりますので、ここでは説明を割愛します。)
健康保険・厚生年金保険の適用事業所の従業員は、本人の意思、国籍、報酬の多寡を問わず、健康保険・厚生年金保険の被保険者となります。つまり、法人経営者及び従業員で、継続的に報酬を受け取っている人は強制適用となります。
ただし例外があります。例えば70歳以上の人は厚生年金保険の被保険者とはならず、健康保険のみの適用を受けることになります。(年金給付の支給調整は、引き続き受けます。)
また、1か月以内の期間で日々雇い入れられる人、2か月以内の期間を定めて使用される人、4か月以内の期間を定めて季節的業務に使用される人、6か月以内の期間を定めて臨時的事業に使用される人、及びフルタイム従業員の所定労働時間の4分の3未満の短時間労働者(例:所定労働時間が週30時間未満のパートタイマー)は、いずれも強制適用から外れます。
しかし、それぞれ予定していた期間(1か月、2か月、4か月、6か月)を超えて使用されるに至った時は強制適用となります。
短時間労働者については、労使協定を結ぶことにより、適用対象にすることもできます。
なお、令和4年10月以降は、同一法人番号を持つ事業所全体(個人事業の場合は、同一事業主)で被保険者に該当する人の合計が常時101人以上となる場合、その事業所で働く学生を除き、1週間の所定労働時間数が20時間以上、月額88,000円以上、継続2か月以上勤務の人は、健康保険・厚生年金保険の被保険者となります。
さらに、令和6年10月以降は、同一法人番号を持つ事業所全体(個人事業の場合は、同一事業主)で被保険者に該当する人の合計が常時51人以上となる場合は、その事業所で働く学生を除き、1週間の所定労働時間数が20時間以上、月額88,000円以上、継続2か月以上勤務の人は、健康保険・厚生年金保険の被保険者となります。
2023.5.25
社会保険料について
社会保険料についてのよくある誤解について解説したいと思います。
はじめに、健康保険料(介護保険料を除く)の個人負担額(1人分)について、おさらいしてみます。
参考として「協会けんぽ東京」と東京23区の「国民健康保険」の、令和5年度の保険料の上限額〜下限額の範囲を見てみます。
【上限額】
協会けんぽ東京:(標準報酬月額分)年834,000円 + (標準賞与分)年286,500円 = 年1,120,500円
23区国保:年870,000円
【下限額】
協会けんぽ東京:(標準報酬月額分)年34,800円
23区国保:(均等割部分)年60,100円
なお、国保は、家族で事業を行っている世帯を想定していますから、家族の一人ひとりを独立した個人として扱いますので、全員が被保険者となります。
ここで一つ、20歳から60歳までずっと年収400万円で世田谷区在住の独身者を想定した場合で、比較してみましょう。
なお、実際には年収は変動するでしょうし、国保の均等割は世帯人数で上下しますし、40歳から65歳までの間は国保も被用者保険も介護保険料がありますし、保険料率、再評価率、給付乗率、老齢基礎年金の給付額、消費者物価指数のいずれも変動し、マクロ経済スライドが発令されることもあり得ますが、これらの要因を全て排除しないと比較ができないためご容赦願います。
会社で社保に加入している場合
厚生年金保険料:年373,320円(月31,110円)
健康保険料:年204,000円(月17,000円)
個人事業主等で国年国保を自分で納付している場合
国民年金保険料:年198,240円(月16,520円)
国民健康保険料:年222,282円
この条件のまま40年間納付し続けた場合の保険料額(単純計算)は、
会社で社保に加入している場合
厚生年金保険料:年373,320円×40年=14,932,800円
健康保険料:年204,000円×40年=8,160,000円
個人事業主等で国年国保を自分で納付している場合
国民年金保険料:年198,240円×40年=7,929,600円
国民健康保険料:年222,282円×40年=8,891,280円
ここで、健康保険料の納付額の差異を比べてみます。
健康保険料:年204,000円
国民健康保険料:年222,282円
この試算で、国保は全額自己負担だから被用者保険適用者の倍額を個人が払っているわけではないことがわかると思います。
国保は、年間収入総額から給与所得控除後の額を出してからさらに一定額の控除をした額に対して料率をかけます。
社保は、月収総額に交通費手当その他の現物給与も加算し上乗せをした額を基準とし、上限が設けられているとはいえ賞与も別計算して加算します。
つまり、国保の場合は年収を少なく見積もった額を基準としていて、社保は給与、非課税手当、現物給与など従業員ベネフィットを全て上乗せした総額を基準としているため、差し引きで大差ないように設定してあることがわかると思います。
では、年金保険料の場合はどうでしょうか。計算を単純化するため、百万円未満を切り捨てて比べてみましょう。
厚生年金保険料:国民年金保険料
= 14百万円:7百万円
= 2 : 1
労使折半して払った厚生年金保険料ですが、国民年金保険料のほぼ倍になることがわかります。
つまり、年金の1階部分 (国民年金)に加えて、2階部分(被用者年金)を払ったからであることがわかると思います。
次に、年金給付の観点から、比べてみましょう。
単純計算で40年間変動なくこの保険料を納付した場合の老齢年金給付の額を試算しますと、次のようになります。
会社で社保に40年間加入した人の場合
(老齢厚生年金)年894,499円
+(老齢基礎年金)年795,000円
=年1,689,499円
個人事業主等で国年で40年間満額納付した人の場合
(老齢基礎年金)年金年額795,000円
さらに、納付済総額と給付年額の比率も出してみましょう。
会社で社保に40年間加入した人の場合
(年金年額)1,689,499円
/(納付済総額)14,932,800円=11%
個人事業主等で国年で40年間満額納付した人の場合
(年金年額)795,000円
/(納付済総額)7,929,600円=10%
どうでしょうか? 拠出と給付の比率で見ると、大差ないと思いませんか?
老齢基礎年金(国民年金)は、国庫からの補助がありますし、納付額ではなくて納付済月数をもとにして給付されるので納付月数が多ければ多いほど受け取る額が多くなります。学生納付特例期間中の保険料を納付していないなど国民年金保険料納付済み期間がフル期間に満たない時は、60歳から65歳までの間に任意継続して納付するなどしておけば、老齢基礎年金の受給額を増やすことができます。
厚生年金は、育児休業中の保険料が免除になるだけでなく払ったものとして後々の給付を受けることができますし、万が一障害年金を受給することになった場合は納付月数が少ないうちでも300月納付したものとみなして給付を受けられます。
今の時代、制度に基づいた適用及び保険料賦課をきちんと行っていれば公平なセーフティネットが働く仕組みになっていることを、世間一般にわかっていただき、また、社会保障制度を信用していただきたい、との思いを込めてこの記事を書かせていただきました。
2022.11.23
表計算について
事務所代表は表計算を厭わないどころか、表計算式を組み上げる作業が殊の外好きで、とても心が落ち着くのです。
縦列と横行との交差地点であるセルとセルとの関係性や、他のシートとの関係性を頭の中で繋ぎながら作業していくのですけれど、それが億劫ではなくて、むしろ精神集中できて落ち着くのです。
ひとりの世界に没頭していくような、静かな安心感を持つことができます。
出来上がりを想像しながらセルに計算式を入れたり、条件式を入れたりして、連携させたりして、目で見てわかるような表を作っていくこの作業は、思えば子どもの頃に夢中になって覚えた編物を編む作業に近いのかもしれません。
あるいは、図工の時間に方眼紙を使って、切り抜き、形を作っていく時の、特定の枡の位置が立体的に移動したらどんな形になるか、ということを考えるのも好きでしたから、この作業にも近いのかもしれません。
父が建築家であったので、子供心に造形に関心を持っていたのかもしれません。
独自ドメインを取得し、メールサーバーへマッピングし、Webサイトを作ったり、デザインしたり、Excel表に計算式や条件式を入れていくような創作的な作業が好きなのです。
そもそも、マイクロソフト社がWindowsを世界中に普及させる以前から、つまり、エクセルが普及する以前から表計算ソフトを使っていました。
1986年4月に、新卒で入社した会社で、初めて使った表計算ソフトはMS-DOS で動くSuperCalcでした。これについてはデータ入力だけの作業でした。
次に使ったLotus1-2-3では、データ入力だけでなく、ショートカットキーを独自に設定したり、マクロを組んで多種多様な設定を作ってみました。
というのも、最初に触れたSuperCalcで作られたスプレッドシートは、なかなかすごいものだったので、当然のことながらそれを作った人に対する直属の上司の評価は高かったのですが、他の部署の人から見るといつも遊んでいて仕事していない人と思われていたのです...
そういうギャップにむしろ感動したわけです。PCを使いこなし、PCに働いてもらって、自身は余裕綽々でいるのが、とても格好良く見えました。
それに引き換え、Lotus1-2-3のスプレッドシートのほうは、結構無駄が多くて、時間がかかるものだったのです。
Lotus 1-2-3も、あのSuperCalcのスプレッドシートのように高速で走るシステムにしようと、自分で工夫をしながらマクロを作ってみたりして効率化を進めました。
1990年12月にこの会社を退職したあとも、退職金をはたいてMac IIというPCを購入してちょくちょくPCを触っていました。では、Macに搭載された表計算ソフトを使ったかというと、実はその時はあまり使いませんでした...
(Macはインターフェースの微調整ができるところが好きで、今でも、主にMacのデバイスを揃えて仕事しています。一応Windowsも使っていますが。)
Mac IIが動かなくなって以降は、夫がWindowsPCを新調してExcelをインストールしたので、久々に表計算ソフトに触れさせてもらったのですが、その時のExcelは正直わかりにくいと思いました。
アイコンもインターフェースも今ひとつ洗練されていなくて、とっつきにくい印象でした。
Excelを本格的に使い始めたのは、会計事務所にフルタイムで再就職を果たした2003年12月からです。
会計ソフトに仕訳入力したデータを、Excelでも集計しておいて突合確認することなどに使っていました。何度も電卓で検算するよりも、Excelなら目で追うだけでチェックできるからです。このとき、いろいろな技を周囲の人から教わりました。また、自分に与えられた仕事の時間短縮を図るためにも、夢中で覚えていきました。
なお、この会計事務所では、Excel技だけではなく、テンキーのブラインドタッチ入力や、マウス・パッド・矢印キーなどを使う手指と、数字を入力する手指を、左右の手で分担して入力するテクニック、要は常時両手で素早く入力するテクニックも覚えました。
その会計事務所の顧問先様の事務代行を担当していたのですけれど、その顧問先様というのがシステム開発会社でした。
週に2日から3日くらい出向いて、経理及び総務事務全般を担う仕事でしたが、すでに社内のシステムエンジニアやプログラマーが経理業務をかなりシステム化してありました。
会計ソフトに仕訳入力する前の段階で、エクセルで自動的に仕訳伝票を作ったり、また仕訳入力が完了した後、Accessで独自集計する作業もありました。
システムトラブルの時は社内のエンジニアがコード画面を開いて検証してくださるので、それを横で興味深く見ていました。
その後、人事異動がありこの会社の事務代行は他のスタッフに任務交代しまして、私は、会計事務所内部の特定部門の給与計算を受け持つことになりました。
給与計算の前段として1箇月単位の変形労働時間制による労働時間集計業務があったのですけれども、前任者はExcel表に始業・終業時刻を入力した上で、なぜか割増対象時間は手計算で弾き出していたのです。
Excel表に時間のデータを入力してあるのに、割増対象時間の自動計算をしないなんて、もったいないと言うしかありません....
そこで、計算式を入れては検算を繰り返しつつ、1箇月単位の変形労働時間制に特有の、1日について、1週間についてのみならず、1箇月についても、それぞれの割増対象時間を算出し集計するという、当時の自分としてはだいぶ頑張って複雑な計算式を作りあげました。
当時のエクセルの計算式は、現在ほどには進化していなかったため、60進法と除数のあまりを割戻計算する方法を組み合わせて時間計算を行なっていました。
2006年9月には、資格試験の時間を確保するため別の会計事務所(週2〜3日勤務)へ転職したのですが、ここでは賃貸収入の月次収支及び持分自動按分する計算表、本則課税の消費税の検算表、時間計算表、給与計算表、など数々のExcel計算表を作りました。
2010年4月には、労働基準監督署に転職したのですが、許認可の許可基準を確かめる計算があって、それを私がExcelで算定していましたところ、上局で、これを参考にして一般化した業務用のExcel計算書を作成され、管内の各監督署へそれらが配布されたこともありました。
また、行政システムからAcessで抽出したCSVデータからExcelに移転させて、自作したファイル背表紙の定型フォーマットに印刷するというものを作ったりしました。
どの職場でもひとりくらいはPCに詳しい人がおられるものでして、この時も詳しい人が近くの席におられてAcessの使いかたを教えてもらったりしました。
他の署へ異動された労働基準監督官から「あのファイル頂戴〜」と言われて提供したこともあります。
思えば、社労士会の臨海統括支部の会計幹事をしていた時も、前任者がExcelマスターでしたので、会計ソフトからCSVファイルを取り出してExcelでピポットテーブルツールを使って独自の損益計算書を作成する方法を教わりまして、それを使っていました。
こうしてどこにいても、詳しい人が現れてはちょこちょこっと教えてもらっていました。また、他の人が作ったエクセルに感動するとその人のところへ出向いてその技を教えてもらうこともありました。インターネットでも、詳しい人が技を公表してくださっているので、インターネットで調べることもあります。
私が作るファイルは、あくまで該当箇所を見つけやすく、入力の手間数が少なくて、一度入れたデータは全体に連携させて二度と同じ値を入れなくて済むものです。
また、入力誤りをすると注意喚起がなされるようにし、ヒューマンエラーに気づきやすいように作り込んであります。
それでいて、誰が見てもどこに何が表現されているかが、一目でわかるような表であることを心がけています。
要は「見やすく、わかりやすい」ものを作るようにしています。それは自分のためでもありますが、それを見て使う誰かのためでもあります。
しかも、他人が思っているよりもずっと手早く、あまり時間をかけずに作ります。最初の核となるベース部分をしっかり作ったら、あとはフラクタル的に展開するだけなので、指数関数的にあっという間にファイルを大きくすることができるのです。
かつての職場の人にお会いすると「あの吉仲さんが作ってくれたExcel、今でも使っていますよ〜」と言ってくださるので、本音としてはできればもっとブラッシュアップして差し上げたいくらいなんですが...それは叶わずとも、やはり嬉しいものです。
なお、2022年11月の昨今では、Excelの限界というか...表計算自体は単純化されていく方向性になってきていて、複雑な計算はプログラミングによって作るという方向性を感じています。果たして、今後はどうなっていくのでしょう...いずれにしても、楽しみにしています。
2022.11.23
労務管理について
最近のICT環境の進歩は目覚ましく、Web上で様々なことができるようになってきました。
従来から民間の事業者が作成するソフトウエア(ダウンロード版、Web版)も多く出回っています。
行政が作成して公開しているものとして、日本年金機構から出されている届書作成プログラムが従来からありますが、昨今では労働保険の年度更新用の計算書もありますし、今年は年末調整の計算書が国税庁のホームページからダウンロードできるようになりました。
なお、当事務所では、労働者名簿・労働時間及び勤怠集計・年次有給休暇管理・平均賃金算定・休業手当算定・給与明細・賃金台帳・年度更新計算・社会保険料納付額計算・源泉徴収額計算・源泉徴収高集計・源泉徴収簿・年末調整計算書・源泉徴収票などを一括網羅できるものを作成し提供しています。
なかでも、労働時間集計の方法は、勤務形態によって、給与の支払方法によって、実に様々なバリエーションがあります。
1箇月単位の変形労働時間制の場合には、予定と実施を必ず比較して算定する形式にしなければなりません。
一般的な平日勤務の場合の週40時間超の算定では、前月締日との繋がりに最も注意しなければなりません。土曜日勤務の取り扱い、代休と振替の違い、などを認識していなければなりません。
いわゆる残業時間は、所定外労働なのか、法定時間外労働なのかをしっかり認識しないと、どこかで勘違いを引き起こしてしまいます。ちなみに、労働基準法でいうところの"時間外労働"とは "法定時間外労働" です。
休日勤務は、週の起算日と実働日の認識をしっかり持たないとなりません。また、労働基準法でいう休日労働は、一般認識の土日祝の勤務とは限りません。
深夜勤務は、所定内労働時間帯か、所定外労働時間帯か、法定時間外労働時間帯か、休日勤務時間帯か、管理監督者の深夜勤務なのか、など多種多様なため、あくまで深夜勤務は2割5分増部分として明確に区別して把握しておかないと勘違いを引き起こします。
把握の方法も、ICカードや、タイムカード、自己申告など様々あり、これらによりある程度までは把握できますが、絶対ではありません。
ICカードキーは持参忘れしたり、タイムカードは打刻漏れしたりすることがあります。
自己申告は書き忘れたり間違えたりすることもありますし、分単位などは多少端折ることが多いと思います。
ある意味で正確無比と言えるWeb勤怠システムを導入しても、最終確認と修正の必要が起こってくることが容易に想像できます。
人差し指の静脈生体認証で入館する病院に勤務する人から聞いたのですが、冬の寒い日に自転車で通勤すると指をかざしてもなかなか反応しないらしいです。
外で必須の研修を受けたり、イベントに出席することもあるでしょう....これらはどうやって記録に残せばいいのでしょうか?
こんな相談を受けたことがあります...外勤の者にスマホを持たせて位置情報を発信させていたが、その人が位置情報を切って雲隠れしている時間があるが、どうしたら良いか?というものです。
そもそも、正確に "時分秒" の把握をするべきなのでしょうか? 例えば、始業時刻の9時00分00秒と終業時刻の17時30分00秒に全員が打刻することが、現実的に可能なものなのでしょうか?
「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき適正な措置に関するガイドライン」を読んでみても、時分秒を正確に把握するべきとは一言も書いてありません。
このように労働時間把握に関しては、労使がお互いに確認し手作業で修正する必要がどうしても出て参りますから、電卓で検算したり、エクセルで検算するなどの人的作業によるダブルチェックは欠かせまん。
そこまでしても、いわゆるヒューマンエラーというか、担当者レベルで作成したデータを信用しすぎてしまって決裁ルート上の全員が見落としてしまう、ということもあります。
当事務所で作成するエクセル集計では、同じエクセルシート内で検算式を入れて確認した上で、別のエクセルシート内で再度別の角度から集計して、検算しています。
それでも、何かの取り扱いの変更があった後しばらくして忘れた頃に、うっかり見落とすことがあります。そういう時は、お詫び申し上げてから、翌月の給与で精算修正させていただき、次回以降、同じ間違いを起こさないよう、自前の検算システムを見直しします。
詰まるところ、労務管理に関しては、労使の信頼関係に基づく日々の確認作業を怠らないことが、何よりも大切なのではないかと思います。
2022.11.2
健康保険制度の変遷について
昭和の時代の話から始めたいと思います。私の頭の隅に残っている朧げな記憶で語りますので、詳細は曖昧になりますがお付き合いください。
勤務先の健康保険(被用者保険、いわゆる健保)の被保険者の本人は、なんと窓口負担がなかった時代がありました。昭和時代の半ば過ぎ頃までそうでした。
こんな素敵なベネフォットを享受できる健保は、公務員共済、学校共済、企業の健康保険組合などだったと記憶しています。
また、中小企業向けの政府管掌健康保険(現:協会健保)というのもありましたが、こちらはなんとなく地味であまり知られていませんでした。
一方で、勤務先の健康保険(被用者保険)に入っていない人は、市区町村の国民健康保険(市町村国保)に加入することになっていました。
国保は、個人事業主が中心で、基本的に労使の概念はないため保険料は全額自己負担です。それだけ聞くと負担感が半端ない感じがしますが、現実をよく紐解いてみるとそうでもありません。
さらにこれらの制度ができるもっと前から、国保組合という健康保険制度が存在していて、今でも医師国保、弁護士国保などが、健康保険制度の長い歴史の根幹を成しています。これらは保険料が定額で、収入の多寡で変動しないというメリットがあります。
他にも、船員保険というものもあります。船員保険の特徴は、被保険者が行方不明となってから割と早い時期から遺族給付が受けられる点で、その分保険料が高めに設定されていました。
健康保険と一口で言っても、このように実に様々な制度がありますが、一般的には、ご自分が加入している健康保険が全てだと思っておられる人が多いようですね...。
そして、加入している健康保険によって、また、本人か家族かによって、かつては窓口負担割合が異なりましたし、保険料にもかなりの差がありました。
そのうえ、今と当時を比べると、現在の4分の1程度の保険料負担額でした...具体的な数字はともかくも昭和時代はだいぶ健康保険料が安かったんだなぁと思っていただければ、十分です。
全体に大規模組織の共済組合や健康保険組合であるほどに、また高額所得者が多く存在する組織であるほどに、保険財政は豊かで保険料は安く(労使折半のほか、保険料率も低かったのです。)、窓口負担が軽く(昭和の終わり頃には、本人負担1割に上がっていましたが、それでも現在の3分の1ですから。)、保養所があって、健康診断も充実していました。
一方、市町村国保は、計算の基礎となる金額は年収ベースで年間保険料を算定し、それを10等分した額を10ヶ月間に分けて納付します。家族の分も保険料が発生しますのでなんとなく月々の負担感が高くなります。さらに、高齢者の比率が高く、医療にかかる人の比率(有病率)も高くなり、結果として市町村の財政をも圧迫していました。
その後、平成時代に数度の制度改正を経て、今ではどこの健康保険でもほぼ同程度の保険料負担ですし、高齢者その他特別な場合を除いて窓口負担割合もほぼ3割で、健康診断の内容にもほとんど差がありません。
さらに、任意継続、高額療養費制度、傷病手当金、出産育児一時金・出産手当金、とさまざまな給付の制度に差がなくなり、全体として目を見張るほどに広くあまねく医療が提供される体制が整ってきています。
2022.11.2
社労士会の支部活動と支部移転について
ブログの初回は、2008年に大田区で開業登録してから2018年に千代田区二番町へ事務所移転するまでの経緯を綴ります。
社会保険労務士の登録をした2008年当時五反田にある会計事務所でパート勤務をしておりました。試験勉強を応援してくださった会計事務所の所長先生が合格を大変喜んでくださいまして、その会計事務所所在地で社労士登録したらいいのでは?とありがたい提案までしてくださいましたが、当時、家に中学受験真っ只中の子と高校生になったばかりの子がいたので、色々考えた末に大田区の自宅住所で開業登録することにしました。
会計事務所から給与計算や算定年度更新などの業務をわけていただき、社労士業務をスタートしました。会計事務所でのパート勤務のない日に、家で家事の合間に社労士業務をするという日々でした。
大田支部では当時の執行部の方々から多大な支援をしていただきまして、行政協力(年金事務所、労働基準監督署、区役所)、支部会計幹事、特定社労士受験のための特別研修リーダー(グループ研修のファシリテーター担当)、労働条件審査など数々の実務経験をさせていただきました。
なお、2010年4月から2013年4月までは、任期のある公務員でしたので、登録は「開業」から「勤務」や「勤務等その他」へ変更したりして、それでもなんとか大田支部に繋いでおりました。社労士の支部登録と会員種別はわかりにくいですが、こんなふうに繋ぐことができてよかったです。
公務員を任期満了した後、2013年5月に「開業」登録へ再び戻しまして、その後もしばらくはどこかしらに常勤・非常勤などで勤務したりして、勤務と開業の二足のワラジを続けていました。
2016年4月に末子が大学生となり独り立ちしたことが主なきっかけで自宅を引っ越しすることにしまして、大田区内からあまり遠くない場所でと、1年間家探しをしました。
2017年4月に家から徒歩30分以内(2キロメートル圏内)の場所に、ちょうど良いあんばいの広さと値段の家を見つけまして、引っ越しが実現しました。
入居前の掃除に徒歩で通えるほど近い場所なのですが、そこは世田谷区でした。そうなると、支部登録を大田支部から世田谷支部へ移転しなければならなくなり、支部移転について少し足踏みしつつも世田谷支部へ移転登録しました。
2018年は最初の登録から10年の節目の年でもあり、自宅外に事務所を出そうか否かと考えるようになっていました。
大田区、品川区、港区、目黒区、渋谷区などを中心に探しました。条件は、完全個室(天井近くに隙間がない壁と扉、及び内側からも外側からも鍵がかかる扉)、個別電話回線、個別インターネット回線、共用会議室(必要に応じて予約するタイプ)、共同受付(受付で人が待機しているもの)、個別郵便受(鍵がかかるもの)があるレンタルオフィスでした。
思うエリアに思う条件の物件が見つからなかったので範囲を広げて、ためしに千代田区周辺をあたってみましたら...自宅から乗り換えなしで電車通勤することができる場所で、求めている物件が見つかりました。
2018年9月に、自宅にあったPC、モニター、スキャナー、プリンター、シュレッダー、書籍の仕事ツール一式を、千代田区二番町の事務所に運搬手配したり、自力で運んだりして事務所の引越しをしました。
思えば、社労士登録をした2008年9月からちょうど10年の記念すべき節目でもありました!
千代田支部長に挨拶しないと、と思っていた頃に...東京都社会保険労務士会で行われた研修会の会場で知人数人に久々に会いまして、その後一緒に食事をしたのですが、隣のテーブルに当時の千代田支部の支部長がおいでになられたのです!
本当に不思議な偶然で、無事にご挨拶することができました。
千代田支部は大所帯でして、有名な社労士の先生が多くおいでになられる支部ですので、その恩恵あって研修・セミナーが大変活発です。
近年、法改正が目白押しで、社会情勢の変化が目まぐるしく、何年経っても新しい勉強、勉強、勉強の日々で、息つく暇もないのですが、千代田支部の充実したセミナー、特にコロナ禍でのWebセミナーにはずいぶん助けられています。
こうして新入会員としてあまり認知されないままに数年経ってしまっていまして、ほとんど誰も私を知らないままとは思いますが、本当にいつもありがとうございます。